『危機の二十年』——理想は、なぜ現実に敗れたのか
第二次世界大戦の勃発直前に書かれた、国際政治学という学問の事実上の出発点。 カーは戦間期の国際連盟をめぐる「ユートピアニズム」を、 利益を道徳の言葉に翻訳する営みとして解剖しました。 しかし本書の核心は現実主義の勝利宣言ではなく、 純粋なリアリズムもまた政治を成り立たなくさせるという、両者の緊張関係にあります。
第二次世界大戦の勃発直前に書かれた、国際政治学という学問の事実上の出発点。 カーは戦間期の国際連盟をめぐる「ユートピアニズム」を、 利益を道徳の言葉に翻訳する営みとして解剖しました。 しかし本書の核心は現実主義の勝利宣言ではなく、 純粋なリアリズムもまた政治を成り立たなくさせるという、両者の緊張関係にあります。
国際政治学の事実上の出発点。戦間期の平和構想を支えた「利益の自然的調和」という前提を解体し、 道徳的言語がしばしば支配的地位にある国の利益の翻訳であることを示します。
戦後アメリカの外交論を支配した古典的現実主義の教科書。 国益を「権力によって定義される利益」として捉え、 政治の自律性と、道徳を国家に直接適用することの危うさを説きます。
以下の文献は、順次公開していく予定です。用語集の解説では、すでにこれらの議論に触れています。
| 刊行年 | 著者 | 書名 | 系譜 |
|---|---|---|---|
| 1977 | コヘイン/ナイ | パワーと相互依存 | リベラリズム |
| 1979 | ケネス・ウォルツ | 国際政治の理論 | ネオリアリズム |
| 1983 | B・アンダーソン | 想像の共同体 | ナショナリズム論 |
| 2001 | J・ミアシャイマー | 大国政治の悲劇 | 攻撃的現実主義 |
| 2004 | ジョセフ・ナイ | ソフト・パワー | リベラリズム |
| 2017 | グレアム・アリソン | 米中戦争前夜 | 覇権移行論 |
国際政治学の議論は、「何が結果を決めているのか」という問いへの答え方で大きく分かれます。 どの立場から書かれた本かが分かると、読み方がはっきりします。
世界政府が存在しないアナーキーのもとでは、国家は自助によって生き延びるほかない。 決め手は権力の分布であり、協力は起きても脆い——そう考える立場です。 カー、モーゲンソー、ウォルツ、ミアシャイマーが代表格。
アナーキーは前提として認めつつ、制度・経済的相互依存・国内政体が 協力の可能性を広げると考える立場。 国際レジーム、民主的平和論、国際制度論がここに含まれます。
「アナーキーとは国家がそれにどんな意味を与えるかで決まる」。 アイデンティティ・規範・間主観的な意味こそが利益を形づくると論じ、 物質的な力の分布だけでは説明できない変化を扱います。