アナーキー(無政府状態)
Anarchy
国家の上位に立ち、法を執行できる世界政府が存在しないという国際社会の構造的条件。「混乱」ではなく「中央権威の不在」を指す専門用語で、国際政治学の議論のほぼすべてがこの前提から出発します。
関連:自助/ウォルツ『国際政治の理論』(記事は準備中)
Glossary of International Politics
議論の前提として使われる用語を、理論・安全保障・国際政治経済・国際制度・国際法・外交の六分野に分けて整理しました。
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全 98 語を掲載しています。
Anarchy
国家の上位に立ち、法を執行できる世界政府が存在しないという国際社会の構造的条件。「混乱」ではなく「中央権威の不在」を指す専門用語で、国際政治学の議論のほぼすべてがこの前提から出発します。
関連:自助/ウォルツ『国際政治の理論』(記事は準備中)
Self-help
アナーキーのもとでは、最終的に自国の安全を保証してくれる者はいないため、各国は自らの力と同盟によって生存を確保するほかないという原理。信頼できる第三者がいないことが協力を難しくします。
Classical Realism
権力への欲求を人間本性に根ざすものと捉え、国際政治を権力闘争として理解する立場。国家指導者の思慮(プルーデンス)を重視する点で、後の構造重視の議論と異なります。
関連:モーゲンソー『国際政治』
Neorealism / Structural Realism
国家の内部要因ではなく、アナーキーと能力の分布という国際システムの構造から国家行動を説明する立場。人間本性への言及を排し、国際政治理論を演繹的な体系にしようとしました。
関連:ウォルツ『国際政治の理論』(記事は準備中)
Defensive Realism
国家が求めるのは適度な安全であり、過剰な拡張はかえって対抗同盟を招いて安全を損なうと考える立場。ウォルツやジャック・スナイダーらがこの系譜に位置づけられます。
Offensive Realism
他国の意図が確認できない以上、安全の最大化は力の最大化によってしか達成できず、大国は地域覇権を目指さざるをえないと論じる立場。ミアシャイマーが代表的論者です。
関連:ミアシャイマー『大国政治の悲劇』(記事は準備中)
Liberalism
アナーキーを前提としつつ、経済的相互依存・国際制度・民主的な国内政体が協力を促し、戦争の可能性を下げると考える立場の総称。単一の理論ではなく複数の系譜の束です。
Neoliberal Institutionalism
アナーキーと国家中心性というネオリアリズムの前提を受け入れたうえで、国際制度が情報を提供し取引費用と裏切りの誘因を下げることで、協力が持続しうると論じる立場。
関連:コヘイン=ナイ『パワーと相互依存』(記事は準備中)
Constructivism
国家の利益は所与ではなく、アイデンティティや共有された観念によって形づくられるとする立場。「アナーキーとは国家がそれに与える意味次第である」という命題がよく知られています。
関連:規範のライフサイクル/アンダーソン『想像の共同体』(記事は準備中)
English School
国家間には単なる力関係を超えた共通の規則と制度からなる「国際社会」が成立していると捉える立場。国際システム・国際社会・世界社会という三層の区別を用います。
関連:ルールに基づく国際秩序
Level of Analysis
説明の原因をどこに求めるかの区分。個人(指導者の認知)、国家(政体・国内政治)、国際システム(構造)の三層に分けるのが標準で、同じ事件でも層が違えば答えが変わります。
関連:ウォルツ『国際政治の理論』(記事は準備中)
Security Dilemma
純粋に防衛目的でとった措置が、他国からは攻撃準備と受け取られ、対抗措置を招いて双方の安全がかえって低下する状況。誰も戦争を望まなくても緊張が高まる仕組みを説明します。
Relative / Absolute Gains
協力から自国がどれだけ得るか(絶対的利得)を重視するか、相手より多く得られるか(相対的利得)を重視するか。現実主義は後者を、制度論は前者を強調し、協力可能性の評価が分かれます。
関連:ネオリベラル制度論
Prisoner's Dilemma
各主体が合理的に自己利益を追求すると、双方にとってより悪い結果に落ち着くゲーム構造。軍拡や貿易摩擦の説明に使われ、繰り返しと制度が協力を可能にする条件の分析につながります。
関連:国際レジーム
Two-Level Game
外交交渉を、国際交渉のテーブルと国内批准のテーブルが同時に進む二重の駆け引きとして捉える枠組み。国内で通る合意の範囲(ウィンセット)が交渉力を左右します。
関連:聴衆費用
Democratic Peace Theory
民主主義国どうしは互いに戦争をしにくい、という経験的規則性とその説明。制度的制約による説明と、規範の共有による説明があり、非民主国との間では成り立たない点が重要です。
Hegemonic Stability Theory
開放的な国際経済秩序は、その費用を負担する圧倒的な覇権国が存在するときに安定するという議論。覇権の衰退が秩序の不安定化を招くという含意を持ちます。
Power Transition Theory
戦争の危険が最も高まるのは、挑戦国の力が支配国に追いつき、かつ挑戦国が既存秩序に不満を抱いているときだとする議論。均衡ではなく力の接近を危険視する点で勢力均衡論と対照的です。
関連:トゥキディデスの罠
Thucydides's Trap
台頭国が既存の覇権国に迫るとき、双方が戦争を望まなくても構造的な圧力と恐怖が衝突を招きやすくなるという命題。アリソンが米中関係の分析に用いて広まりました。
関連:アリソン『米中戦争前夜』(記事は準備中)
Offense-Defense Balance
その時代の技術・地理・軍事ドクトリンのもとで、攻撃と防御のどちらが有利かという条件。攻撃有利のとき安全保障のジレンマは深刻になり、防御有利なら緩和されると考えられます。
関連:安全保障のジレンマ
Balance of Power
突出した力を持つ国が現れると、他国が軍備増強や同盟によって対抗し、力の分布が均衡へ引き戻される傾向。政策としての勢力均衡と、意図せず生じる結果としての勢力均衡は区別されます。
関連:バランシング/ウォルツ『国際政治の理論』(記事は準備中)
Balancing
脅威となる国に対抗するため、自国の軍備を増強する(内的均衡化)か、他国と同盟を結ぶ(外的均衡化)行動。何に対抗するのかを「力」ではなく「脅威」とする脅威均衡論もあります。
Bandwagoning
強い側に対抗するのではなく、その側につくことで安全や利益を確保しようとする行動。抵抗の見込みが薄い弱小国や、勝ち馬から分け前を得ようとする場合に選ばれやすいとされます。
関連:バランシング
Buck-passing
脅威への対抗の負担を他国に押し付け、自らは温存しようとする行動。多極構造で起こりやすく、対応の遅れが脅威の増大を許した例として1930年代がしばしば挙げられます。
関連:ミアシャイマー『大国政治の悲劇』(記事は準備中)
Alliance Dilemma
同盟国に「見捨てられる」不安と、同盟国の紛争に「巻き込まれる」不安が同時に存在し、一方を減らそうとすると他方が増える構造。日米同盟をめぐる議論の基本枠組みです。
関連:拡大抑止
Deterrence
行動を起こせば受け入れがたい損害を被ると相手に信じさせることで、行動を思いとどまらせる戦略。報復による「懲罰的抑止」と、成功の見込みを断つ「拒否的抑止」に分かれます。
Credibility
脅しや約束が本当に実行されると相手に信じられているかどうか。能力があっても意思が疑われれば抑止は働かないため、抑止論の中心的な問題であり続けています。
Extended Deterrence
自国だけでなく同盟国への攻撃も抑止すること。自国が直接攻撃されていない状況で報復するという約束をどう信じさせるかという信憑性の問題を、本質的に抱えています。
Nuclear Umbrella
核保有国が、非核保有の同盟国に対して自国の核戦力による抑止を提供すること。日本やNATO諸国の安全保障政策の前提であり、拡大抑止の核領域における具体化です。
関連:拡大抑止
Mutual Assured Destruction
双方が先制攻撃を受けても壊滅的な報復を行える状態にあり、その結果としてどちらも先に撃てなくなる均衡。冷戦期の米ソ核抑止の基本構図とされました。
関連:第二撃能力
Second-strike Capability
先制攻撃を受けた後でも報復核攻撃を実行できる残存能力。潜水艦発射弾道ミサイルなどによって確保され、これがあるかどうかで核抑止の安定性が大きく変わります。
関連:相互確証破壊
Compellence
何かをさせないのではなく、すでに始めた行動をやめさせる、あるいは新たな行動を起こさせるために力を用いること。相手に譲歩の姿を可視化させるため、抑止より難しいとされます。
Collective Security
潜在的な敵を含めて広く加盟させ、侵略した国に全員で対抗すると事前に約束する仕組み。特定の敵を想定する同盟とは原理が異なり、国連はこの構想に立っています。
Right of Collective Self-Defense
自国と密接な関係にある国が武力攻撃を受けた際に、自国が直接攻撃されていなくても実力で阻止する権利。国連憲章51条が認めており、日本では行使の可否が長く争点となってきました。
Human Security
安全保障の対象を国家から個々の人間へ移し、紛争だけでなく貧困・感染症・環境劣化からの「恐怖と欠乏からの自由」を含めて捉える考え方。日本の外交政策の柱の一つでもあります。
関連:保護する責任
Securitization
ある問題を「存亡に関わる脅威」として語ることで、通常の政治手続きを超える例外的措置を正当化する言語行為。安全保障を客観的状態ではなく政治的構築として捉える視点です。
関連:コンストラクティビズム
Arms Race
相手の軍備増強に反応して自国も増強し、その反応がさらに相手の増強を招く相互作用。安全保障のジレンマが時間軸に沿って現れた形と理解されます。
Arms Control
軍備の全廃(軍縮)ではなく、量・種類・配備・運用に相互の制限をかけ、戦争の可能性と被害を抑えようとする協調。検証手続きの設計が実効性を左右します。
Anti-Access / Area Denial
長射程ミサイルや潜水艦などによって、敵の戦力が特定の地域に接近すること自体を阻み、進入後の自由な行動も封じる戦略・能力。西太平洋の軍事バランス論の中心概念です。
関連:抑止
Gray Zone
平時とも有事とも言い切れない、武力攻撃に至らない範囲での実力行使や既成事実化。海上保安機関や民兵の活用が典型で、既存の法的・軍事的対応の隙間を突く点に特徴があります。
関連:ハイブリッド戦
Hybrid Warfare
正規軍による作戦に、非正規部隊、サイバー攻撃、情報工作、経済的圧力を組み合わせ、攻撃の主体と性質をあいまいにする手法。帰属の特定が難しく、対応の敷居を上げます。
関連:グレーゾーン事態
Preventive War / Preemptive Strike
先制攻撃は攻撃が差し迫っている状況での機先の制圧、予防戦争は将来の力関係の悪化を見越した早期の開戦を指します。国際法上、後者の正当化は一般に認められていません。
Escalation
紛争の烈度・範囲・使用手段が段階的に上昇していく過程。どこに明確な区切り(閾値)があるかが共有されているかどうかが、意図せぬ拡大を防げるかを左右します。
Crisis Management
戦争を避けつつ自国の中核的利益を守るために、緊張局面での意思疎通・軍事行動・時間の使い方を制御すること。誤認と組織的慣性が最大の障害とされます。
Misperception
相手の意図や能力を誤って読み取ること。自国の行動は防御的で自明だと感じ、相手の同種の行動は攻撃的だと解釈する非対称な認知の偏りが、危機を悪化させます。
関連:安全保障のジレンマ
Interdependence
国家間に相互に影響し合う関係が存在し、一方の政策変更が他方に費用を及ぼす状態。単なる結びつきの多さではなく、断ち切るときの費用の大きさが政治的に重要になります。
関連:コヘイン=ナイ『パワーと相互依存』(記事は準備中)
Sensitivity / Vulnerability
敏感性は外部の変化がどれだけ早く自国に響くか、脆弱性は代替策をとった後でもなお残る費用の大きさ。権力の源泉になるのは後者の非対称性です。
Hegemony
軍事・経済・制度において圧倒的な優位に立ち、国際秩序の規則を設定・維持できる地位。強制力だけでなく、他国から一定の正統性を認められているかどうかが持続性を分けます。
International Public Goods
航行の自由、安定した通貨体制、感染症対策のように、誰も排除できず消費が競合しない便益。誰も費用を負担したがらないため、供給が慢性的に不足しがちです。
関連:フリーライダー問題
Free-riding
費用を負担せずに公共財の便益だけを享受する行動。同盟における防衛費の負担分担をめぐる論争は、この問題の典型的な現れ方です。
Bretton Woods System
第二次大戦後、ドルを基軸とする固定相場制とIMF・世界銀行を柱に構築された国際経済秩序。1971年の金・ドル交換停止で固定相場は崩れましたが、制度的な枠組みは残りました。
関連:埋め込まれた自由主義
Embedded Liberalism
対外的には貿易の自由化を進めつつ、国内では雇用と社会保障によって調整の痛みを吸収するという戦後秩序の妥協。この均衡の崩れが、今日の反グローバル化の背景として論じられます。
関連:保護主義
Economic Statecraft
貿易・投資・援助・金融といった経済手段を、対外政策の目標達成のために用いること。制裁のような懲罰だけでなく、援助や市場アクセスの供与という誘因も含みます。
Economic Security
重要物資・技術・データの供給網や基盤を、他国からの供給途絶や不当な影響力行使から守るという政策領域。効率性を一定程度犠牲にして強靱性を確保する選択を伴います。
Weaponized Interdependence
金融決済網や半導体供給網などのネットワークの結節点を握る国が、その位置を利用して他国の情報を得たり接続を遮断したりすること。相互依存が平和の条件ではなく圧力手段になる側面です。
関連:敏感性と脆弱性
Economic Sanctions
貿易・金融・渡航の制限によって相手国の政策変更を迫る手段。全面的な禁輸から、個人や団体を狙う「スマート・サンクション」まで幅があり、効果の測定は容易ではありません。
関連:強制/経済的ステイトクラフト
Protectionism
関税や数量制限、補助金などによって国内産業を国際競争から保護する政策。安全保障や雇用を理由に正当化されることが多く、報復の連鎖を招きやすい点が問題とされます。
関連:埋め込まれた自由主義
Supply Chain Resilience
調達先の分散、在庫の積み増し、同盟国内での生産回帰などによって、供給網の途絶リスクを下げる取り組み。効率一辺倒の最適化からの転換を意味します。
関連:経済安全保障
Decoupling / De-risking
経済関係を全面的に切り離すのがデカップリング、関係は保ちつつ致命的な依存だけを減らすのがデリスキング。後者はより現実的な政策目標として近年用いられています。
関連:経済安全保障
Debt Trap
返済困難な規模の融資によって、債務国の政策や資産に対する影響力を得るという主張。実証的には過度な一般化を戒める研究も多く、事例ごとの検証が必要な概念です。
関連:経済的ステイトクラフト
International Regime
特定の争点領域において、行為主体の期待が収斂する原則・規範・規則・意思決定手続きの総体。条約や機構より広く、明文化されていない慣行も含みます。
関連:コヘイン=ナイ『パワーと相互依存』(記事は準備中)
International Organization
条約に基づいて設立され、常設の事務局と意思決定機関を持つ組織。国家の道具にすぎないのか、独自の主体性を持つのかは、理論的立場によって評価が分かれます。
関連:国際レジーム
Multilateralism
三か国以上が、個別の事情に左右されない一般的な行動原則に基づいて協調すること。単に参加国が多いことではなく、原則の一般性が定義の核心です。
関連:ミニラテラリズム
Minilateralism
問題解決に必要な最小限の少数国だけで協力枠組みを作る方式。合意形成は速い一方、正統性と包摂性を欠くという批判を受けます。クアッドなどが例に挙げられます。
関連:クアッド
UN Security Council
国際の平和と安全の維持に主要な責任を負う国連の機関。加盟国を法的に拘束する決定を行える唯一の機関である一方、常任理事国の拒否権によって機能不全に陥りやすい構造を抱えます。
Veto
安保理常任理事国5か国が、実質事項に関する決議の成立を単独で阻止できる権限。大国を国連にとどめるための設計であると同時に、大国が当事者の紛争では対応を不可能にします。
関連:国連安全保障理事会
UN Peacekeeping Operations
停戦合意の監視や治安維持のために、当事者の同意を得て展開される国連の活動。近年は文民保護や国家建設まで任務が拡大し、同意・中立・自衛という原則との緊張が生じています。
関連:保護する責任
NATO
1949年設立の集団防衛機構。条約第5条の集団防衛義務を核とし、冷戦後も拡大と任務の再定義を重ねてきました。同盟の存続と拡大の是非は今日も論争の的です。
The ASEAN Way
内政不干渉、全会一致、法的拘束より対話と漸進を重んじる東南アジアの地域協力の作法。合意の敷居が低い反面、実効的な紛争解決には弱いと評価されます。
関連:内政不干渉原則
Quad
日本・米国・オーストラリア・インドによる協議枠組み。条約に基づく同盟ではなく、海洋秩序や技術・保健分野の協力を積み上げる緩やかな連携として位置づけられます。
G7 / G20
条約に基づかない首脳レベルの協議体。G7は価値を共有する先進国の結束を、G20は新興国を含む代表性を強みとし、正統性と実効性のどちらを取るかという緊張を体現しています。
関連:首脳外交
Forum Shopping
複数の国際制度が重なり合う領域で、自国に有利な結論が得られそうな場を選んで問題を持ち込む行動。制度の多層化が進むほど起こりやすくなります。
関連:国際レジーム
Sovereignty
領域内で最高の権威を持ち(対内主権)、外部からの命令に服さない(対外主権)という国家の属性。国際政治のすべての制度が、この擬制の上に組み立てられています。
Westphalian System
1648年の講和を象徴的な起点として語られる、主権国家を単位とする国際秩序。近年は起源としての1648年を過度に神話化しているという歴史学からの批判も強まっています。
関連:主権
Principle of Non-intervention
他国の国内管轄事項に強制的に介入してはならないという国際法上の原則。人権侵害や人道危機への対応との間で、しばしば正面から衝突します。
関連:保護する責任
Prohibition of the Use of Force
国連憲章2条4項が定める、国際関係における武力による威嚇・行使の禁止。例外は自衛権の行使と、安保理が決定する強制措置に限られます。
Right of Self-defense
武力攻撃が発生した場合に、安保理が必要な措置をとるまでの間、実力で自国を防衛する権利。必要性と均衡性という要件によって行使の範囲が画されます。
関連:集団的自衛権
Responsibility to Protect
自国民をジェノサイド等から守る第一義的責任は当該国にあり、それが果たされない場合には国際社会が責任を引き受けるという原則。介入の口実に使われるという警戒も根強くあります。
Norm Life Cycle
規範の起業家による提唱、閾値を超えた後の連鎖的普及、そして当然視される内面化という三段階で、国際規範の定着過程を捉えるモデル。対人地雷禁止などが事例とされます。
関連:コンストラクティビズム
Soft Law
法的拘束力を持たないが、実際には行動を方向づける宣言・指針・行動規範の総称。合意が容易な反面、履行の強制ができないという性格を持ちます。
関連:国際レジーム
UNCLOS
領海・排他的経済水域・大陸棚・公海などの区分と、そこでの権利義務を定める包括的な条約。「海の憲法」と呼ばれ、海洋秩序をめぐる紛争の法的基準となっています。
関連:航行の自由
Freedom of Navigation
公海および一定の条件下での他国水域における船舶の航行の自由。国際公共財の代表例であり、過剰な海洋権益主張に異議を唱える作戦の根拠にもなっています。
Rules-based International Order
力ではなく共通の規則によって国家間関係を規律すべきだという理念、およびそれを掲げる現行秩序の呼称。誰が規則を作ったのかという正統性への問いが常に付きまといます。
Recognition of States
ある政治的実体を国家として扱うという他国の意思表示。国家性を創り出すのか、既存の事実を確認するにすぎないのかをめぐって、創設的効果説と宣言的効果説が対立します。
関連:主権
Hard Power
軍事力や経済力によって、報酬と処罰を通じて他者の行動を変えさせる力。何を持っているかという資源と、実際に結果を出せるかという転換能力は別物である点に注意が必要です。
関連:ソフト・パワー
Soft Power
強制や買収ではなく、魅力によって他者が自国と同じ結果を望むようにする力。文化・政治的価値・対外政策の正統性を源泉とし、発信量ではなく受け手の評価が決め手になります。
関連:ナイ『ソフト・パワー』(記事は準備中)
Smart Power
ハードとソフトの手段を、状況に応じて有効に組み合わせる戦略的な能力。両者はしばしば相反するため、組み合わせ自体が独立した技量として扱われます。
関連:ソフト・パワー
Sharp Power
魅力ではなく、情報操作・検閲・威圧によって他国の世論や意思決定に浸透する影響力。ソフト・パワーと外形が似ているため、両者の区別が政策上の争点になっています。
Public Diplomacy
相手国政府ではなく、相手国の世論に直接働きかける外交活動。放送・文化交流・留学生受け入れなどが手段となり、一方的な広報より双方向の関係構築が有効とされます。
関連:ソフト・パワー
Summit Diplomacy
首脳が直接会談することで、事務レベルでは越えられない政治的決断を行う外交手法。決着が速い一方、準備不足のまま臨むと失敗の代償も大きくなります。
関連:G7とG20
Track II Diplomacy
政府代表ではなく、研究者や元政府高官などが非公式に行う対話。公式の立場に縛られずに選択肢を探れるため、行き詰まった局面の突破口になることがあります。
関連:危機管理
Strategic Ambiguity
有事にどう行動するかを明言しないことで、双方の行動を同時に抑制しようとする政策。台湾海峡をめぐる米国の姿勢が代表例で、明確化すべきかが論争になっています。
Hedging
特定の大国への一方的な追随も対抗も避け、複数の選択肢を残しておく戦略。東南アジア諸国の対米・対中政策を説明する概念としてよく用いられます。
Middle Power
単独で秩序を左右する力はないが、制度づくりや仲介、争点を絞った専門的貢献によって影響力を発揮する国。日本・オーストラリア・カナダなどの外交を語る枠組みです。
関連:多国間主義
Audience Cost
公に表明した立場を後から撤回すると、国内世論から政治的な代償を払わされること。この代償があるからこそ、公約が相手にとって信憑性を帯びるという逆説があります。
Strategic Autonomy
安全保障や技術で他国に決定的に依存せず、自ら選択できる余地を確保しようとする志向。EUの議論で前面に出ますが、同盟関係との両立が課題になります。
関連:経済安全保障
Yoshida Doctrine
安全保障を日米同盟に依存し、軽武装のまま経済復興に資源を集中させるという戦後日本の基本路線。国際環境の変化に伴い、その前提の見直しが長く議論されてきました。
Grand Strategy
国家が長期的な目標を定め、軍事・外交・経済のあらゆる手段を目的と結びつける包括的構想。手段と目的の均衡を欠いた構想は、過剰拡張を招くと警告されます。
関連:覇権
該当する用語が見つかりませんでした。別のことばで試してみてください。